日銀のマイナス金利導入の影響で貯金が減る?日常生活でのメリットとデメリットは?
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お金は天下のまわりもの。円安方向で動いていた日本経済。世界的に見ても通貨安で動いてきた世界経済。
これを主導してきた日銀や政府。
ここへ来て、策を打っても響かず、むしろ逆行する流れが加速する。
かといって何もしなければ、無策だと叩かれる。どうも悪循環ですね。
ま、これまでの好循環がそろそろ期限切れと考えれば少しは納得できますが、さてさて今年申年どうなるか。
ちなみに、相場の世界では、「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる」 と言われています。
今年は申年、この箴言の通り、騒ぐ年になるでしょうか。
という訳で今回の記事では、日銀のマイナス金利導入による経済への影響の仕組みと、それによって私達の日常生活にはどのような影響が出てくるかをまとめてみました。
もくじ
日銀によるマイナス金利政策って?
1月29日、日銀がマイナス金利導入という政策を決定しました。
まずは、これはどういうことかを、すこし整理してみたいと思います。
今回のマイナス金利導入という話。かなりセンセーショナルに世界中に伝わりましたよね。
なにしろ、マイナス金利、と聞くと、銀行に預けていたらお金が増えるのではなく、お金が減っていく、ということが真っ先に想像されるからです。
とはいえ、今のところ黒田日銀総裁は、「日本の個人預金金利がマイナスになる可能性は、まずない」と言っていますから、個人が銀行にお金を預けていて、それが増えるどころか減っていくということはありません。
それはなぜか?を次で説明しますね。
具体的な中身は?
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そこで、まず、マイナス金利の政策の中身ですが、
よくよく調べてみると、今回のマイナス金利は、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部に対して0.10%のマイナス金利を付与するというものです。
つまり、私たち個人の預金の金利がマイナスになるわけではないのですね。一安心です。
金融機関は、預金を預金者に支払うことができるように日銀の当座預金に預金することが法律で義務づけられていますが、大量に余った資金を日銀の当座に預けていました。
ここに0.1%の金利がついていたのですが、2月16日からマイナス0.1%にすることに日銀はしたのです。
なぜそんなことにしたのでしょうか?
では、なぜ銀行の預金口座の金利をマイナスにしたのか?
日銀の意図としては、銀行の資金を日銀の当座預金で寝かせておくのではなく、むしろ積極的にお金の貸し出し(事業融資)や投資に回すようにして、経済の活性化やデフレ脱却を目指しているからです。
要は、お金を寝かしておいたところで増えやしないのだから、しっかり天下に金を回して増やしてくださいよ、ということです。
折しも、年明けからの金融市場でのリスク回避による円買いドル売りで円高、株価の下落、国債の価格下落があり、これらは世界経済の先行きの不安の高まりを意味します。
もちろん、世界中が不景気になって日本だけが好景気という訳にはいきません。
そこで、日本経済を刺激しようと、1月29日の日銀金融政策決定会合でマイナス金利の発表となったわけです。
つまり、銀行にテコ入れをして資金を世の中に回していこうとしたのですね。
「日銀に貯金してても減るだけだから、そのぶん貸したり投資したりして世の中にキャッシュ・フローを生んでくださいね」というようなかんじです。
まとめると、
銀行から企業にお金がいく。
→ 企業の売上が上がれば、国の税収が増える。国の赤字も減る。
→ 企業の売上が上がれば、雇用も増える。給料も上がる。
→ 生活者の家計が改善されれば、消費が増える。
→ 消費が増えれば、企業の売上が更に上がる。
→ 経済成長のスパイラルに!
というような流れを狙ったのですね。
更に、マイナス金利の発表によって、株価の値段や円相場がこれ以上下がらないように意図したところもあったでしょう。
サプライズ?政策発表後に市場はどうなった?
実際に、発表後は、円安・株高方向に市場は動きました。
1ドル 118円台から一気に121円台へ、日経平均株価は1万6000円台から1万8000円近くまで大きく値上がりしました。
これで、これまで通り日本経済大丈夫だ。輸出企業の業績も悪くならない。消費も冷え込むこともないと、思ったものです。
・・・しかし、このマインドはうたかたの夢。
その後、10日ほど経って、一瞬1ドル110円を割り込み、株価も1万5000円を割り込み、政策発表前より値下がりした水準になっています。
また、日本国債の10年物の価格は上昇しました。つまり、利回りは下がります。
2月9日には国債の利回りが、マイナス0.035%と、史上初めてマイナスになりました。
国債の利回りがマイナスになるって、どういうこと?
今回の日銀のマイナス金利導入は、銀行に企業や個人に貸し出してもらおうという意図があったのですが、銀行などの金融機関からすると、誰でもお金を貸すわけにはいかないので、まずは、国債を買おうという動きが出てきます。
そう、残念なことに、銀行の融資審査をクリアしてお金を貸してもらえるような優良企業や返済能力のある個人というのも、そうそうたくさんいるわけではないのが現状なんですね。
で、国債の話に戻ります。
自分が買った値段よりも高く買ってくれる人がいれば、利益を得られることもあるので、国債を買うメリットはあります。そして、日銀に預けているとマイナスの金利がつくのだから、国債を購入した方が損が少なくなると考えるからです。
ちなみに、国債の利回りと国債の価格の関係はシーソーで、「国債の買い手が増えれば=価格が上昇すれば」、国債の利回りは下がります。
例えば、額面の価格が100円で、年2円の利子がつく国債があったとします。この国債の利回りは年2%で、1年間国債を保有していると最終的に102円がもらえます。
そして、この国債の買い手が増えれば、国債の価格は値上がりします。欲しい人が多いと品薄になって売り手市場になるので、価格が上がるということですね。
仮に、国債の買い手が増えて110円まで値上がりしていたとします。このとき、110円で国債を買って1年間保有しても102円の受取です。差額8円の損が出ます。これが、国債の利回りがマイナスになるということです。
今回、10年物国債のマイナスへ行ったのも、銀行によって国債が買われて、国債の価格が上がったからです。
ただし、個人で国債を保有している人は、満期まで保有していれば金利がマイナスになることはありません。
長期国債の利回りが下がると何が起こる?
というわけで、長期国債の利回りが下がりました。すると何が起こるか?
金融機関は住宅ローンや企業への貸し出しの際の金利を決めるのに、長期金利の10年物国債の利回りを参考にするので、企業が設備投資のための資金を銀行から借りる際の金利や住宅ローンの金利が下がります。
また、定期預金、普通預金の金利が下がってきています。ただし、これらの金利がマイナスになることはありません。
借りる方には有利かもしれませんが、預ける立場だとメリットが減りますね。
それから、生命保険や年金の運用が厳しくなるので、年金の受取りに今後影響が出てくるかもしれません。
ともあれ、世界経済の失速への警戒感から、リスクを避けようとした動きが強まっています。
日本国内で資産を運用するにも運用先が少なく、仕方なくリスクの小さい資産にお金を分散させるために国債を買っているとの指摘もあります。
結局、中長期的に見ると、日本経済、世界経済大丈夫かな?と思ってしまうのと、銀行にお金を預けていても、今まで以上に増えないぞ、ということになります。
結局、自分たちの資産を増やそうと思ったら、ある程度のリスクにさらして、資産を動かさないと、いけませんね。
国や銀行に預けるとか、ほったらかしにしていたら、目減りしていく可能性が高いかもしれません。
まとめ
1)日銀のマイナス金利導入で生活に影響は?メリットとデメリットは何?
メリット:
ローンの金利が下がって借りやすくなる。
デメリット:
定期預金、普通預金の金利が下がる。
保険、年金の将来の受取りへの悪影響が考えられる。(マイナス金利の影響もあるが、円高ドル安などでの含み損での影響もある。ダブルパンチ!)
…正直、私は年金受取ができるかどうか、かなり不安です。
2)日銀のマイナス金利導入で銀行破綻はある?
企業が設備投資のための資金を銀行から借りる際の金利が下がるのでお金が借りやすくなる。
ただし、これまでは、日銀総裁もマイナス金利の可能性は否定していたし、銀行もその可能性を低く見ていただろうから、今回のサプライズ的に舵を切ったマイナス金利導入で銀行の経営が圧迫される可能性はある。
が、現時点で銀行の破綻を予想するのは時期尚早だろう。
3)日銀のマイナス金利導入で住宅ローンの変動金利に影響はある?
金融機関は住宅ローンや企業への貸し出しの際の金利を決めるのに、長期金利の10年物国債の利回りを参考にするので、企業が設備投資のための資金を銀行から借りる際の金利や住宅ローンの金利が下がる。
また、定期預金、普通預金の金利が下がってきているが、これらの金利がマイナスになることはない。
お金を借りる分には実はお得なマイナス金利導入ですね。
ちなみに、こちらの記事に円周率の覚え方をまとめてみましたので、気分転換にでもぜひお読み下さい。これがなかなか、頭をつかうパズルのようで面白いですよ。
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ではでは、今回もお付き合いいただき、ありがとうございました♪
今日も皆さまに何かいいことがありますように (^^)
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